来し方行く末、あなたと共に! 第二話

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この物語は、主人公・室戸(むろと)がループを脱出するために、
アニメやマンガの知識を駆使して脱出しようと試みる物語。
暇つぶしに読んでいただけたらこれ幸い。


プロローグ:はじまりは夕暮れと共に・ちーさんの視点

第一話:現状・室戸の視点
第三話:そして時は現在に戻る


第二話:一年前の今日、放課後の部室にて


 「むろっちゃん。昨日のアレ、見た? 『すかいふぉーる』」
 「おいおい、聞くだけ野暮ってもんでしょうよ」
 そりゃそうだ。なんせ家で学業につぎ込む時間の全てをアニメやゲームに費やしているのだから。
 「見たに決まってる」
 「やっぱりなー、見逃すわけねぇもんな」
 「ほらな。言ったとおりだろ」
 俺はまぶたを閉じて、昨日見た光景を思い出す。
 「抱腹絶倒ってものを久しぶりに味わったよ。横隔膜がはち切れるかと思った」
 「俺も俺も。すごかったわー」
 「制作陣の頭はイカれてるとしか思えない。いい意味で」
 俺は思わず破顔してしまう。
 「まさかエンディングに流れる映像が、大空をバックにパンツが飛行する映像とはな……やりおる」
 「ほんっとバカでしょ、あれ。マジ最高」
 「しかも選曲のセンスもすばらしいんだよ。まさかの岬めぐりだぜ」
 そう。これがいい曲すぎて。
 「シュール過ぎんだろ。めちゃくちゃ笑えるんだけど、曲のせいでちょっと泣けるところも憎い」
 「やべぇ……ちょっと思い出しただけでまた笑いが……ほんっとひどいぜ……」
 「ひどいは褒め言葉」
 「曲が古いせいなのか意味の分からないノスタルジックな気持ちも湧いてくるんだよ。そこにも笑っちゃうね」
 「いやー、俺アニメ見ててよかったってマジで思ったね。パンツが空飛ぶなんてのはアニメでしか見れない」
 「同感。俺はパンツが大きな鳥に捕食されるってのが見れただけでアニメ見てる価値あったって思える」
 うむ、と俺は首を力強く縦に振る。
 「そうだな。ちなみに俺はパンツから飛行機雲でてきたシーンを見て、もう死んでもいいって思った」
 「おいおい。死んじまったら、出てくる女の子全員が非処女のシットでファッキンなアニメが見れなくなるじゃねぇか」
 「かわいい女の子たちが探偵業を営むアニメだと思ったら実はかわいい女の子たちが農作業するアニメも見れなくなるぜ」
 「綺羅星!」
 「ところで、今期はまだ始まったばっかりだが、一番カワイイ女の子は誰だと思う? ちなみに俺はヨスガっちゃうあの子」
 「俺はツンデレでアイドルに加えてオタクなあの子」 
 「お前らホント妹が好きね」
 「そういうお前はホント妹が好きじゃないよな」
 「今どき珍しいよ」
 「好きじゃないわけじゃないが……俺はどっちかっていうと姉キャラの方が好きなんだから仕方ない。とくにまや姉」
 「で、むろっちゃんは誰がいいのよ」
 「そうだ、はやく白状するんだ。あと俺は黒いゴスロリチックな服を着た猫ちゃんもいいと思ったぞ」
 「俺はだな……むむむ、今期アニメは俺の股間にビビット訴えかけてくるお姉さんがあまり見受けられなかったんだよな」
 「別にお姉さんじゃなくてもいいんだぜ」
 「複数人でも可」
 「じゃぁ、『God only knows』に出てくる主人公からモブキャラポジションと言われた女の子と、プロレス大好きな元バスケ部の見習い教師がいい。あと『俺がいる千葉県』のアラサーゲフンゲフンな女教師(おんなきょうし)も好き。すごく好き」
 「えっ……と、その三人の話はまだアニメで放送されてないよな」
 「それはダメだ。放送済みのヤツじゃないと」
 「気に入ってるのに……じゃあもうイカちゃんでいいでゲソ」
 「あー……はいはい。アレね。うん」
 「反応が微妙だぞ、お前はホントに見たのか? 見てないって言ったらぶっ殺す」
 「まぁ、アニメは人を選ぶけど、アレは人をとくに厳選するからね」
 「ごめん……俺アレちょっと苦手だわ」
 「もしかして、空気系というか日常系アニメはあまり好きではない?」
 「アレをジャンル的に日常系っていっていいのかどうかはわからんが……まぁ、わかりやすいし、この場合はそれでいいか」
 「うーん……そのジャンルの代表作を述べてくれ」
 「『てらふぉーみんぐ』とか『WARNING!!』とか『じゅうおん!』とかあるな。あと、『あ・ちゃんねる』や『千代パパ大王』もいい。それと『わたしをころして』は誰がなんと言おうと俺は愛してる」
 「『方南町一家』とか『GA 小説科クラス』とかもあるぞ。『がちゆり』や『たす☆きら』も忘れちゃならない。ちなみに俺が一番好きなのは『由々しき』だ」
 「……あー」
 「むろっちゃん、こいつどうしてやりましょう?」
 「とりあえず『マンガ時間・きらきら』持ってこい」
 「ま、まってくれ。俺は、雑誌で読んだことのあるものはステップと若い弾倉だけなんだ」
 「こいつはすごい。健全すぎる」
 「そんな青少年、修正してやる!」
 「わかった、わかった! 後でぜんぶ見っからよ! だから、『マンガ時間・きらきら』を顔に押し付けるのはやめろ!」
 「後で見るといって本当にみたやつはいない」 
 「まぁ、日常系アニメを楽しめるようになると、アニメを楽しめる幅が一気に広がるから見といて損はないぞ」
 「わ、わかってるって」
 「それにしても複雑な気持ちになるのは、『イカ男の娘』があまりに人気が出すぎたことだ」
 「あれ? お前って確か、アニメが始まる前から原作を読んでたよな。それもすごい気に入ってだろ」
 「そうだったな。やたらに俺たちに奨めてきたっけ。それなのに、どしたのさ?」
 「正直、アニメ化は嬉しかったんだけどね……ちょっと話は変わるけど、アニメ化される前に原作を読んだやつが、それをつまらないというのは、悲しいけど仕方がないなって思えるんだよ」
 「そうだな」
 「人の好みはそれぞれ違うからな」
 「でね、原作はおもしろくないけどアニメは面白かったっていうやつも、まだ許せるのね」
 「よくある話だな」
 「うむうむ」
 「問題はこっからで、アニメ化される前に原作つまらないって言ってたやつが、アニメ化された途端に原作おもしろいっていうのが、許せないんだよ!」
 「あー……いるいる」
 「一貫性をもってもらいたいよな、全く」
 「いいたいことがもう一つ。あまりに人気が出すぎた作品ってそのうちみんな見向きもしなくなるでしょ?」
 「一時の人気にほだされて飛びついた層がその作品をさんざっぱら踏み荒らした挙句に、それに飽きたら移り気なるがままに別の作品に飛びつくという、あれか」
 「くやしいよな」
 「まったくだよ。だから、アニメが評価されて人気が出たのを喜びたいんだけど、もしアニメ化で飛びついたやつらがいなくなったときに、元から原作好きだったやつらも一緒になって離れていくのが悲しいんだ。原作ファンとしてはこのあまりの人気ぶりを素直に喜べない」
 「いいじゃないか、それでも。人に興味をもってもらえなくなったとしても、お前がその作品を好きであり続ければ、さ」
 「そのとおりだ。俺も『すかいふぉーる』を忘れないぞ! 絶対に!」
 「……そうだよな。『イカ男の娘』、一生大切にしよう」
 「うんうん、それでよし」
 「おっと、もうこんな時間だ。もう帰らねぇとな」
 「ん……俺もそろそろ帰るわ」
 「そうか。俺はラノベ読んでから帰るよ」


 「ほんじゃ、むろっちゃん。またなー」
 「じゃあな、むろっちゃん。また明日」




第三話:そして時は現在に戻る
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