スポンサーサイト

EDIT

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
web拍手 by FC2

来し方行く末、あなたと共に! 第六話

EDIT

この物語は、主人公・室戸(むろと)がループを脱出するために、
アニメやマンガの知識を駆使して脱出しようと試みる物語。
暇つぶしに読んでいただけたらこれ幸い。


プロローグ:はじまりは夕暮れと共に・ちーさんの視点

第五話:ループの始点
第七話:二次元の姉キャラは視聴者の年齢を越しても
     姉キャラであり続ける、その悲しさについて



第六話:まだ誰もタイムリープに気づいていない


 「む、室戸さん! 大丈夫ですか!?」
 「いや……だめ……うっ!」
 逆流する胃酸。胃の中の食べ物は全て吐きだしたはずなのに、それでも嘔吐が止まらない。あまりにも気持ちが悪いので、態勢がぐらついた。その際、ゴミ箱へと至るはずの吐瀉物が少しだけ床に飛び散ってしまった。
 「すみません、やっぱりダメでした……。気にせず、そのままぜんぶ出してください。後処理は私がやりますから」
 「い、いや、それは……おうぇ!」
 お言葉に甘えて、遠慮なくゲロをゴミ箱にぶちまける。その途中、ちーさんが優しく俺の背中を擦ってくれたとき、股間がムズムズしたのは気のせいだと信じたい。

     ◇

 「ごめんなさい、ごめんなさい! 私の占いのせいで……」
 先ほどからちーさんがひっきりなしに謝罪をくり返す。
 「いいって。もう大丈夫だから」
 何度も吐いてしまえば気分はスッキリする。それにもう終わってしまったことなので、さほど気にしていなかった。
 俺はゴミ袋の口を結んで吐瀉物の匂いが漏れでないようにした。
 そして部室をでると、トイレへとむかう。口の中にこびりつく嘔吐物を洗い流すために、水を含んでは口をゆすぐ。嘔吐物の味がしなくなるまでそれを何回か繰り返した。手も臭ったので、石鹸で手をキレイにした。
 部室へ戻ると、ちーさんとゲロの入ったゴミ袋の姿がない。どこにいったのだろうと思っていたら、ちーさんがドアを開けて入ってきた。
 「あ、ごめんなさい……勝手ながら、ゴミ袋は焼却炉へ持って行っちゃいました」
 「えっ? 持ってっちゃったの?」
 「も、もしかして、あのゴミ袋まだ使う予定でしたか!? ご、ごめんなさい! 今すぐ焼却炉から持ってきます!」
 「そういうことじゃないって! ストップ、ストップ!」
 「ホントに、ごめんなさい! ごめんなさい!」
 「落ち着いてって!」
 それからちーさんが冷静さを取り戻すのに数分を要した。
 「ごめんなさい……ごめんなさい……」
 「もう大丈夫だってば。そんなに謝らなくてもいいよ。それより、ごめんね。汚いもの運ばせちゃって」
 「そんなこと気にするわけないです……ごめんなさい……また失敗してしまって……」
 「また? 以前に占ってもらったことってあるっけ?」
 「あ、いえ! なんでもないです……」
 なんだろうか、このちーさんの反応は。何か隠しごとでもしてるのだろうか? いや待て、邪推はよそう。ちーさんが何かを隠したいのなら、それを詮索するのは失礼だろう。
 それにしても俺はちょっと面食らっていた。思い出したくもない記憶なのでこの記憶が正確かどうかはわからないが、小学校の頃、給食の時間に嘔吐物をぶちまけたとき、周りからとてつもなく罵られた。隣の席の女子には泣かれてしまい、それが原因でクラスの女子に冷たくされるようになった。さらには男子からは嘔吐したことをからかわれるあまり、同性とも異性とも距離を置くようになった。これが思い出したくもない記憶の一部である。そしてゲロってからというものの学校へ行きたくないという思いがより強くなり、いつしか俺は不登校になった。
 数年間、俺は社会に対してふて寝をくり返した。そしてある日、このまま引きこもってるわけにもいくまいと思いたち一念発起した俺は、となりのとなり町にある私立の中学校へ入学し、小学校の同級生のいない空間で勉強を少々がんばり、電車通学も面倒くさくなったので地元の進学校でもある小岩井高校へと入り、現在に至る。
 俺がゲロを吐いたとき、ちーさんはこの部室を飛び出すのだろうと考えていた。給食の時間にゲロった際、同級生はおろか先生すら助けてくれやしなかった。しかしさきほどのちーさんは、部屋を飛び出すどころか背中を優しくさすってくれた。それだけでもそうとう喜ばしいのに、あの汚らしいゲロ袋を他意なく運んでくれるなんて、これは現実なんだろうか? 
 いや、待て。これは現実なんだ。ちーさんは現実に存在する女の子なんだ。俺よ、現実を信用できるか? 俺が信じるものはなんだ? そう、二次元だ。
 危なかった。二次元に対する忠誠心と現実に対する絶望がなければ、ちーさんを好きになっていたかもしれない。
 結論。ちーさんマジ天使。されど二次元の女の子は女神に等しい。よって俺はこの二次元を選ぶぜ!
 「ほら、顔を上げてよちーさん。さっきの占いの結果、聞かせてよ?」
 「でも……」
 「俺がゲロ吐くまで占ってもらったんだから、ね」
 「うわあぁぁぁん! ごめんなさぁぁぁい!」
 「あ! いや、違うんだよちーさん! ちーさんを責めてるわけじゃないんだよ!」
 「ぐすん…………」
 「なにも泣かなくったっていいじゃない」
 「ホント、ごめんなさい……それより、占いの結果を話さいないと、ですよね……」
 あれが占いかどうか疑わしいところではあるが。ちーさんが占いというなら占いなんだろう。
 「そうしてくれるとありがたい」
 「では、お話しますね……えーと……うーん……なんていえば、いいんですかね……」
 なんだかちーさんの歯切れが悪い。
 「正直にいってくれてかまわないよ。悪い結果が出たとしても、気にしないから」
 「いいえ、そういうわけではないんです。ええっと……結論からお伝えしますと……そうですね、円環の理に導かれない、といえばいいんでしょうか……」
 「どういうことなの?」
 「うーん……わかりやすく噛み砕いていうと、このまま問題に目を背けて生き続けるならば、代わり映えのしない日常を永遠に過ごすはめになる、って意味ですかね」
 「問題、ねぇ」
 「なにかありますか? お悩みとかあったら聞きますよ」
 「悩みか……あるっちゃ、あるけど」
 「どんなのですか?」
 「……いや、いわないでおくよ」
 「なにか、いいづらいことですか」
 「そんなんじゃないよ。ただ、これは他の人にとってあまりにくだらない問題だからね」
 「でも、室戸さんにとってそれは、重大な悩みなんですよね」
 「うん。とんでもなく」
 「……私は、できるなら、室戸さんの力になりたいです」
 「ち、ちーさん……」
 優しい。優しすぎるよ、ちーさん!
 「ご、ごめんなさい! 今の、偉そうでしたよね……」
 ああ、そんなに謙虚になられては、相談したくなってしまう。
 「いいんだよ。ちーさんの気持ちは嬉しいから。でもね、これはちーさんが、いや、誰であろうと解決できない問題なんだ」
 「えっ……?」
 「といっても。そんなに重い話でもないからご安心を。これは俺が初めて出会ったお姉さんの話なんだ」
 「室戸さんの、お姉さん」
 「聞いてくれるかな? 俺の悩み」
 「も、もちろんです!」
 「すこし痛々しいよ、この話。それでも聞いてくれる?」
 「ここまで来て引き下がるわけないです」
 「それじゃ……聞いて、ください」




第七話:二次元の姉キャラは視聴者の年齢を越しても
     姉キャラであり続ける、その悲しさについて
関連記事
web拍手 by FC2
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
この記事のトラックバックURL



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。