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来し方行く末、あなたと共に! 第十四話

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この物語は、主人公・室戸(むろと)がループを脱出するために、
アニメやマンガの知識を駆使して脱出しようと試みる物語。
暇つぶしに読んでいただけたらこれ幸い。


プロローグ:はじまりは夕暮れと共に・ちーさんの視点


第十三話:ループのはじまり・室戸の視点
第十五話:止まらない吐き気


第十四話:宇宙的恐怖


 夢をみる。太古に久遠の眠りについた、死を超ゆるものの夢を。
 地獄の釜蓋をこじ開けると、幾億もの墓から立ちのぼる腐乱臭が鼻をねじ曲げる。覗きこむと、永久に燃え盛る業火と永劫に降り注ぐ硫黄の雨の合間から、奇々怪々なる神々たちが身をよじらせながら浮かれ騒いでいた。
 ここはそう、暗澹たる深淵にて開かれる邪神たちの饗宴場。
 醜悪無比な鬼どもの哄笑と魔笛の音色はスタッカートのリズムをとり、混沌が豪華絢爛たる伏魔殿にて産声をあげたかと思うと、堕天の王はやがて彗星の尾にまたがって、無知蒙昧な始祖をたぶらかすために真空を駆ける。
 宵の明星が瞬けば宴もたけなわ、有象無象は嗤笑する。時すら遡行できる可塑性の粘着質な肌を飛び散らす様は杯盤狼藉のごとく穢らわしい。
 そして俺は月と奈落を狂奔する。索漠たる想いを胸に、その身に狂気を宿しながら。
 ――――――――――わからない。どっちが狂っているのか。あの化け物たちにとって、これが正常なのだろう。俺はそれを狂ってるとしか思えない。けれど、もしそれを狂ってると思っているのが俺だけだとしたら、狂っているのは俺の方なのではないか?
 地上へと近づく。


 そこは歩道の終わるところ。人々は海を歩きながら紙の雨傘を片手に耳でおしゃべりをしていた。高層ビルの二十六階からツバをとばす子どもはピーナッツバターのサンドイッチを手で食べるんじゃないといわれて足で食べた。ママとパパを食べたのはいったい(ゲップ)誰なんだ? 青にならない信号をみんな笑顔で待っている、信号が青になるのを期待して。鉄が空を飛ぶはずない、だから飛行機が飛んでいる光景とはみんが一緒になってみてる幻想なんだ。暗いなら日が昇るのを待てばいい。影を洗濯したら縮み上がってしまったのでこいつは独居房に入れとこう。あの子は魔法の消しゴムを信じなかった、だからあの子を魔法の消しゴムで消してやる。自分にとっては宝物、されど他人にとっては廃棄物。鳥は早起き、ミミズは寝坊。振り向いてごらん、血まみれのぶよぶよで毛むくじゃらのグラピー・スラピー・スカカグラルのヤツが君を食べようとしているよ。世界に果てはある、だからあいつは嘘つきコロンブス。太陽にむかって石を投げたら海に落ちてきた、世界はまっくろくろすけ氷の世界。「妹より勉強できないなんて、恥ずかしいと思わないの?」だから僕は思うんだ、ママか神さまは僕を間違って作っちゃったんだって。デブでもチビでもハゲでも電気を消したらみな同じ、だからお願い神さま電気を消して。君だけを愛するわけにはいかない、でも大丈夫、ほかの人を愛したって愛が減るわけじゃあるまいし。僕は僕を探して、大きな木の下でやっと気がついたんだ、僕を探したって僕はここにしかいない、だから僕は僕だけのビッグ・オーにならなくちゃって。
 よかったよかった、みんな狂ってるんだ。僕も含めて、みんな狂ってるんだ。僕だけじゃなかった。この世界は、狂ってないやつが狂ってて、狂ってるやつほど狂ってないんだ。だから僕は狂ってもいいんだ。
 僕は歩道を進む。終点には大きな穴が開いていた。とってもいびつで、自然にできたとも、人工的にできたとも言い難い、奇っ怪な代物。僕はその、底の見えない穴へと飛び込んだ。


 気がつくと、俺はいくつものティーカップやお菓子の並んだテーブルの前に座っていた。隣では三頭身で寸胴のおっさんが大きなシルクハットを被りながらクッキーをむさぼり喰らう。そのおっさんの手前にあるティーポッドでは小さなネズミがいびきをかいて泡沫の夢をみる。俺の対面には黒いスーツに身を包んだ赤い三つ目のウサギ人間が紅茶をすすりながら何かの本を読んでいる。
 俺は先ほどみた光景に精神がバラバラになりそうだった。吐き気が治まらない。それでも、精神はなんとか自分と正常に紡がれている。とはいったものの、気力で必死に精神を紡いでるだけであって、いつ崩壊するのかわからない。
 しばらくすると、ウサギ人間が俺に話しかけてきた。
 「人は過去を隠蔽し、忘却の彼方、その果てで過去を改ざんする。自分の都合のいいように。それがなぜだか君にはわかるかい?」
 「……生きる……ために……?」
 「そうさ、その通り。だから君も狂うのさ。君だけじゃない。生きとし生けるもの皆そうだろう? 狂わなくては生きていかれない。最近、僕はこの『歩道の終わるところ』という絵本にハマっていてね。人間の作るものはいつだって面白い。特に改ざんされた記憶というのは。そしてありのままの過去と相対したときの人間の狼狽っぷりといったら愉悦を感じづにはいられない。いや、そんなことはどうでもよかったね。ようこそ、終わらないお茶会へ」
 「……どうも」
 吐き気が、止まらない。
 「僕の友だちを紹介しよう。君の隣にいる寸胴の男はマッド・ハッターだ。帽子屋を営んでいる」
 ウサギ人間がそういうと、マッド・ハッターは口に含んだクッキーをボロボロこぼしながら俺に話しかける。
 「紅茶はいらんかね!」
 「いただきます」
 「ほれ! あったかいもの、どうぞ」
 マッド・ハッターは手元にある紅茶の注がれたティーカップを手渡してくれた。口に含んでみると、カビ臭さが口全体に染み渡り、思わずむせ返る。どうやら俺は、長いあいだ放置されていた紅茶を飲むように勧められたらしい。
 「次に紹介するのは、眠りネズミくんだ。彼は相当なねぼすけでね。その上、夢遊病の気があるらしい」
 「むにゃむにゃ……やろう……ぶっころしてやらぁ……」
 眠りネズミは悍ましい寝言を口ずさむ。
 「さて、それでは本題に入ろうか」
 「ま、待ってください。あなたの名前は?」
 「そんなことどうでもいいだろう。僕は何者にもなれるし、何者でもない」
 「……三月ウサギじゃ、ないんですか?」
 「君がそう思うならそうなんだろうよ。君の中ではね」
 ウサギ人間は腰にぶらさげた左回りの時計を手にとると、
 「あまり時間がないもんでね。端的に説明させてもらうよ」
 と、ウサギ人間は燃えるような赤い三つ目でこちらを睨む。
 「全くもって君たち人間は僕を飽きさせないね。今日だって、非力な少女がたった一人で、久遠の眠りについた旧支配者を目覚めさせようとして、それが現実になるところだったんだ。僕は少し焦ったよ。あんなものが目覚めてしまっては、この世界がグチャグチャになってしまう。だからそうなる前に、あいつにはもうしばらく眠っててもらうようにしたよ。危なかったね。僕が大いなる種族から時をかける技術を学ばなかったら、どうなっていたんだろうね」
 「なぜ、その旧支配者とかっていうのを再び眠らせたんですか?」
 「君たちは僕の興味をいっつも惹きつけてくれるからだよ。こんなことで君たちをみすみす失うわけにいかない」
 「……そうですか」
 「そして君だよ。いもしない姉の年齢を越してしまうことに呻吟するなんて、全くもって阿呆の所業。けれど、実におもしろい。気に入った。だから僕は、君の力になりたいんだ」
 「何を、言ってるんですか?」
 「君は時間が元に戻ったとしても記憶を引き継げるようだね。僕は君がこれからどうなっていくのかが楽しみだよ。君はこれから同じ時間を何度も何度もくり返す。つまりそれは円環だ。まぁ、とにかく円環から脱出するよう頑張るんだ。君がもっている問題を解決してね。僕は問題を解決する手助けはするが、それを解決するのは君自身だ。もちろん、問題に目をつぶり円環から脱出するのも一つの方法だね。いろいろ質問したいことができたら、またここに戻ってくるといい。おっと、そろそろ時間だ。お別れだよ」
 「待ってください。待っ――――――――――」
 気味の悪い浮遊感を感じたと思えば、俺は足元に出現した、いびつな穴に吸い込まれた。
 「また会おう」
 ウサギ人間がそう呟いたときには、すでに俺は彼から遠のいていた。
 とてつもないスピードで落下する。気がつくと、あたりは無明の闇につつまれていた。
 一体全体、何がどうなってるんだ。


 俺はそう思うと、間もなく激しい眠気に襲われ、意識が遠のいていった。


第十五話:止まらない吐き気
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