来し方行く末、あなたと共に! 第十九話

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この物語は、主人公・室戸(むろと)がループを脱出するために、
アニメやマンガの知識を駆使して脱出しようと試みる物語。
暇つぶしに読んでいただけたらこれ幸い。


プロローグ:はじまりは夕暮れと共に・ちーさんの視点


第十八話:タイムリープ論、そして映画の話
第二十話:チャンス


第十九話:再会


 「筋肉モリモリマッチョマンの変態、ですよ」
 「お次はターザンと来るもんな」
 ちーさんとアニ研部の部室で『コマンドー』を視聴しながら、時が経つのを待つ。現在の時刻は十九時時十九分。もしも『特定の時間に達するとタイムリープが発生する』という仮説が正しいのであれば、冗談でいった俺の産まれた時刻に、つまりは十九時五十八分頃にループが発生するはずだ。それまでちーさんの欲望を満たしてやるのがループを脱出する鍵となる。……だろう。たぶん。こんなので欲望が満たされるかどうかはわからないが。
 そのとき。部室の戸を軽くノックする音が聞こえた。
 「誰でしょうかね?」
 「うーん、わからんね……」
 顧問ではないことは確かだ。あの人はいつも十七時キッカリに自宅へと帰宅してしまう。
 「失礼しまーす」
 入室の許可も求めず、声の主は部室へと進みいる。
 「あっ……!」
 俺は驚きのあまり声をあげてしまった。


 まや姉。


 やっぱりだ。赤茶けた髪の色は黒髪になっているし、画面の中にいたまや姉とは姿形が若干違うが、それでも彼女がまや姉であると俺にはわかってしまう。なぜわかってしまうのだろう? 言葉では説明できないが、なんというか……俺のゴーストがそう囁いているからだ。
 そして今、わかったことが一つ。まや姉と遭遇した時点でタイムリープは発生しなかった。すると、『特定の時間に達するとタイムリープが発生する』という仮説が正しいのだろう。
 しかし、このタイミングでまや姉と遭遇するとは。なんたる不遇。
 まや姉が現実にいるという事実には目を背けるつもりだった。俺の単なる見間違いだったかもしれないし、例えそれが現実だったとしても関わる必要性はあまり感じられなかったからだ。
 それに。これはなんとなくだが。今まや姉と出会ってしまうのは。
 ―――――――――――なんだか、とてもイヤな予感がする。
 コツコツコツ。
 まや姉が近づいてくる。
 「ま、まや姉……」
 「あれ? 室戸さん、お姉さんがいたんですか?」
 「そうらしくなってしまったんだよね」
 「に、日本語がおかしいですよ」
 「……まや姉。俺の妹を知らないか?」
 俺はまや姉に語りかける。しかし返事はない。
 「妹さんもいらっしゃったんですね」
 「そうだよ。そうだったんだ」
 まや姉は何もいわずただ歩み寄ってくる。
 ……いったい、まや姉は何を考えているんだ?
 「まや姉……まや姉、なんだよな?」
 そして。まや姉は俺の近くで歩みを止めると。
 俺の両こめかみを右手で掴んだかと思えば。
 右腕一本で、まや姉は俺を持ち上げた。
 「いっ!? イダダダダダダ! 割れる割れる割れるぅ!!」
 「ごめんなさいね。えーっと、あなたは……」
 まや姉は笑顔でちーさんに振り返る。
 「ひぃっ……あ、あの、えっと……」
 ちーさんはあからさまに驚いていた。
 「まぁいいや。ちょっとこのバカ借りるわね」
 「え、あ、はっ、はい……」
 ちーさんがドン引きしてる。これではちーさんを満足に喜ばせることができない。つまり、ちーさんの願望を充足してループから開放されるという計画が台無しになってしまったということだ。
 まぁ、台無しになってしまったのなら、タイムリープ後にやり直せばいいのだ。失敗は次に活かそう。
 それにしても……まや姉の必殺技『アイアンクロー』、こめかみを掴んで人一人を持ち上げるという荒業を現実で体感できるとは。
 ありがとうございます! でもすごくイタイ!


第二十話:チャンス
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