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来し方行く末、あなたと共に! 第二十七話

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この物語は、主人公・室戸(むろと)がループを脱出するために、
アニメやマンガの知識を駆使して脱出しようと試みる物語。
暇つぶしに読んでいただけたらこれ幸い。


プロローグ:はじまりは夕暮れと共に・ちーさんの視点


第二十六話:クソッタレ
第二十八話:


第二十七話:吐いたゲロを飲む


 「うぁあ……! うわぁあああ……!」
 「おやおや、お疲れのご様子だね」
 「ぐぅううう……!」
 絡みつく不愉快な幻影をなんとか振り払い、俺はイスから飛び上がる。
 目指すはウサギ人間の腰に据えられた左回りの時計だ。あれがループを引き起こしてるとしか思えない。それをウサギ人間から奪いとり、破壊してやる。
 だが眠りネズミのアッパーカットとマッドハッターによる足払いによって、俺はテーブルから叩き落とされた。そして息もつかせぬ追撃。腹、足、顔面、腕、胸に食い込む激痛。体のありとあらゆる部位を痛めつけられる。
 「いけないな。それはルール違反だよ」
 「がぁは……!」
 「発想はいいね。それもある意味では正解だ。だが、それじゃあつまらない」
 つまらない――――――――――だと?
 ちーさんが、死んだんだぞ……まや姉が、自分の首を切ったんだぞ……!
 「それでは頑張ってくれたまえ」


 俺は光のない闇だけが続く穴へと吸い込まれる。

     ◇

 「む、室戸さん!」
 床に吐瀉物をぶちまける。
 「大丈夫で「近づくな!!」」
 止めどなく溢れくる嘔吐感。それに抵抗してみたものの、やはりダメだった。口から溢れ出る吐瀉物。床一面がゲロまみれになる。夏だというのに、肌が凍ってしまうのではないかと思えるほど寒い。それを氷解してくれる、優しくて暖かい小さなてのひらを求めたかった。
 だけど。もしもちーさんと一緒にいたら、まや姉の嫉妬を触発させてちーさんに危害が加わる可能性がある。なんとしても、それだけは避けるんだ。
 今回のループで発見したことは、死んでもタイムリープ発動地点にまで巻き戻されるということ。つまり、俺はこのループにいる限り、『死ぬことすらできない』。このルールは他人にも当てはまる。だから、誰かを殺したとしてもループした途端にその人間は復活する。というか、元通りになる。
 なら、ちーさんに協力を仰ぐのもいいと思った。死んだってどうせ生き返るのなら、積極的に協力してもらえばいいだろう、と。
 しかし。もう二度とあんな思いはしたくない。ちーさんが目の前で殺されていく、あの感触。命が消えていくのを手に取るように理解できた。あの海洋生物の触手が俺の精神に絡みつくような不快感を、再び味わいたくはなかった。
 だから、これからはなるべく一人で行動する。いつものように、また一人。でも平気だ。孤独にはもう慣れた。一人のほうが、楽でいい。
 「む、ろと、さん……?」
 ちーさんの体が強張っている。俺がいきなり大きな声を出して、ちーさんが近づくのを拒否したからだろう。ちーさんは、何も悪くないのに。心が真綿で締めつけらるような想いだった。
 「ごめんね、ちーさん。いいかい、よく聞いてくれ」
 「は、はい」
 「これから俺は用事があって町に行く。ちーさんは今すぐに家に帰るんだ。頼む」
 「どうしてですか?」
 「理由は聞かないでくれ。これはちーさんのためを思えばこその話なんだ」
 「で、でも……」
 「俺のいうことを聞いてくれ。頼む」
 「……わかりました。大丈夫、なんですね?」
 「ああ、心配してくれてありがとう」
 そういうとちーさんは、何かを察してくれたのかもしれない、怪訝と心配の混ざった表情しながら、この部屋から出て行った。
 俺はちーさんがいなくなった部室でしばらくの間、また吐き続けた。
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