
はじめに
フューリーを劇場でウォッチしてきたぜ。場所はTOHOシネマズ錦糸町。
アカデミー賞最有力候補、10年に一度の戦争映画と絶賛の嵐の中、
「本当におもしろいのか……?」と少々疑ってしまっていた。
予告を見てみれば戦車の機銃からはレーザービーム(!)が飛び出しているし、
ティーガー戦車との戦闘シーンが公式で配信されていてそれを視聴しても
「なんだかイマイチだな……」という感じが否めなかった。
では見てきた感想はどうだったかというと。
超おもしろかったです。
※ここからネタバレあります! 注意してください!
感想
まずレーザービームに思われたものは単なる閃光弾だった。
トリニいわく、「閃光弾で射線がわかる。それで敵を狙え」とのこと。
でもやっぱりSFっぽく見える。物語が進むに連れて気にならなくなるけれど。
ティーガー戦車とシャーマン戦車の戦いは圧巻の一言。
劇場で見るのとYoutubeで見るのとでは大違いだった。
さて、ストーリーに関する感想を少々。
物語は新兵であるノーマンを主軸に進んでいく。
ノーマンは人を殺してない殺人処女であり、タイピストだ。
戦闘経験はもちろんない。
そしてフューリー隊の仲間として新しく加えられるところにミソがある。
まず観客は戦闘経験のない人がほとんどだろう。
観客はフューリーのメンバーがどんなヤツらなのかもよくわからない。
それは新兵のノーマンも同じだ。
ここで
観客=ノーマンという図式ができあがる。
だから観客も必然的にノーマンに感情移入する他ない。
当然のことだがノーマンは人を殺せない。
ましてや敵が子供だったらなおさらだ。
だからノーマンは、茂みにいたパンツァーファウストを持った少年を見過ごしてしまう。
その結果、味方の戦車を一台破壊されてしまう。
ドンはノーマンが敵兵である子どもを殺さなかったことに激昂する。
「あの戦車が破壊されたのはお前の責任だ」
ドンの物言いには納得できる部分もある。
例え敵兵が子どもだったとしても、
敵兵である子どもは自分や味方の命を奪おうとする。
殺らなければ殺られるのだ。
人殺しがどれだけ道徳に反していようと、
それが与えられた任務であり、それを遂行するのが戦争だ。
しかしノーマンはそれを頭で理解してなお殺人にまでは至らなかった。
任務に支障をきたさないように、ドンは最終手段に打って出る。
なんとドンは捕虜になったドイツ兵を殺せとノーマンに命令するのだ。
ノーマンはそれを拒否してこういい放つ、
「あいつを殺すぐらいなら死んだほうがマシだ! 俺を殺せ!」
ドンはそれを受けてノーマンに無理やり銃を握らせると、
引き金をノーマンと共に引く。
ノーマンは人殺しをさせられてしまったのだ。
ドンはこうすることによって彼を殺したのではなく、
彼自身にある人間性の一部(人殺しをしてはいけないという葛藤)を「殺した」。
人間性の一部を喪失したノーマンは、
そこからフューリー隊の隊員として徐々に認められていく。
フューリーの隊員たちは人間性の一部を完全に失った戦闘員なので、
人殺しをすることによって初めてフューリーの隊員として認められたのだった。
まるでそれは通過儀礼のように見てとれる。
こうしてノーマンは一般人であった自分を殺して、
フューリーの隊員として成長していく。
事実、ノーマンはその後「人を殺すのが楽しい」「死ねナチのクソ野郎!」
などと宣うようになった挙句、
「マシーン」というあだ名を隊員たちからつけられてしまうのだ。
だが隊員たちの中で一番人間味のあったノーマンが
戦闘マシーンになってしまうということは、
ノーマン=一般人という図式から考えていくと、
ごく普通の一般人である観客もまたマシーンになる
可能性があるといいたかったのかもしれない。
最後に
冒頭に出てきた白い馬が最後あたりで一瞬だけ出てくるけど、
あの白い馬はいったい何を象徴してるんだろうか? 気になるね。
死体が柔らかいのも印象的。
戦車にふまれてぺっちゃんこになってるのを映画で初めて見た。
戦車がパンツァーファウストにやられて、
中から燃え上がった人が自殺するシーンにはびっくり。
あと老人がいきなりスナイパーにやられるのにも驚いた。
ティガーⅠが登場したときは震え上がった。
エンジンの音がまるで獣の唸り声を思わせるようで、
空を裂く砲弾が横を駆け抜けていく音があまりにも恐ろしい。
あと強い。強すぎ。絶望感がハンパじゃない。
黒森峰はあんな化け物つかってたのか……。どうりで強いわけだ。
フューリーの隊員たちがじゃれあうさまも魅力の一つだ。
このじゃれあったりふざけあう姿がなければ、
彼らの結束の深さを実感できなかっただろう。
ドンとノーマンがドイツ人の女性と食事する姿を見て、
他の三人が嫉妬(?)するシーン、最高です!
疲れたので今日はここまで。
それではさいなら~。
byすなぎも
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